2023.09.08

妊娠

妊娠中はビタミンAに注意!注意すべき理由から摂取上限まで解説

妊娠中はビタミンAに注意!注意すべき理由から摂取上限まで解説

妊婦さんの中には、おなかの赤ちゃんのために食事に気を付けている人も多いのではないでしょうか?ビタミンAは健康に良いイメージがありますが、過剰摂取をすると赤ちゃんの健康に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事では、妊娠中のビタミンAを摂取するときのポイントや摂取量の目安について解説しています。効果的にビタミンAを摂取したい方はぜひ参考にしてみてください。

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ビタミンAとはどんな栄養素?

ビタミンAとは脂溶性ビタミンのひとつでレチノイドともいいます。その構造により、レチノール・レチナール・レチナインに分類されます。

ビタミンAの仲間の中には、植物に含まれるカロテノイドもあります。カロテノイドは、摂取した後に小腸でビタミンAに変換されるため、プロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれています。

いくつかあるプロビタミンAの中でも、ビタミンAとしての効果が高いのがβカロテンです。βカロテンはレチノールの効力の6分の1に相当します。

ビタミンAは、目や皮膚の健康を維持したり、成長に関わったりしています。そのため、ビタミンAが不足すると、夜盲症、皮膚や粘膜の乾燥、成長の障害が起こりやすくなります。

日本では一般的な食事を取っていれば、ビタミンAが不足することはあまりないですが、途上国ではビタミンAの不足により失明する例もみられています。

妊娠中はビタミンAの過剰摂取に注意するのはなぜ?

ビタミンAは体の健康維持に欠かせない栄養素ですが、過剰な摂取により健康を害するリスクもあります。

同じビタミンでも、水溶性であるビタミンCは取りすぎても、尿中に排出されます。しかしながら、ビタミンAは脂溶性なので、取りすぎると体内に蓄積されやすい特徴があります。

特に、ビタミンAの過剰摂取に注意しなければならないのが妊娠初期です。妊娠初期にビタミンAを取りすぎると、赤ちゃんの耳に形態異常を起こす危険があります。

また、妊娠中でなくても、ビタミンAの過剰摂取により頭痛・吐き気・めまいが起こります。長期にわたってビタミンAの過剰摂取を続けると、骨や皮膚に変化を起こしたり、肝臓の異常や中枢神経に影響を与えたりすることがあります。

妊娠中のビタミンAの摂取量の目安

ビタミンAの摂取量は、プロビタミンAも含めてレチノール活性当量(RAE)として設定されています。

妊娠中のビタミンAの摂取量の目安は650〜700µgRAEで、耐用上限量は1日2,700µgRAEです。これは、ビタミンAの摂取が2700μgRAEを超えてはいけないという意味ではありません。ビタミンAの耐用上限量は、習慣的な摂取に対するものです。

ビタミンAを含む食品について

ビタミンAであるレチノールは動物性食品に多く含まれており、プロビタミンAのカロテノイドは緑黄色野菜に多く含まれています。ビタミンAが豊富な食材1食分当たりのレチノール活性相当量は以下です。

≪動物性食品に含まれるビタミンA量≫

  • 鶏レバー(40g)       5,600 μgRAE
  • 豚レバー(40g)       5,200 μgRAE
  • うなぎのかば焼き(80g)   1,200 μgRAE
  • 銀だら(70g)             1,260 μgRAE
  • ホタルイカ(30g)          570 μgRAE
  • 鶏卵(55g)                94 μgRAE
  • 高脂肪アイスクリーム(90g)90 μgRAE
  • クロマグロ(70g)      588 μgRAE

≪植物性食品に含まれるビタミンA量≫

  • にんじん(20g)     146 μgRAE
  • ほうれん草 ※茹で(80g)360 μgRAE
  • 西洋カボチャ(100g)  330 μgRAE
  • 小松菜 ※茹で(80g)  208 μgRAE
  • ニラ(30g)       114 μgRAE
  • みかん(100g)     84 μgRAE
  • 味付けのり(3g)    81 μgRAE
  • 人参ジュース(200g)   740 μgRAE

妊娠中にビタミンAを取るときのポイント

妊婦さんがビタミンAを摂取するときは、妊娠初期に過剰摂取にならないように注意する必要があります。妊娠中のビタミンAを摂取するときの注意点は以下です。

妊娠中にレバーやウナギを食べられる

妊娠中でも頻回でなければ、レバーやうなぎを食べても問題ありません。レバーやうなぎなど動物性食品の中では、1食分で一日のビタミンAの耐用上限量に超えたり、大半の摂取量を占めたりする食品があります。

ビタミンAの耐用上限量は、習慣的な摂取量になります。そのため、妊婦さんでも、レバーの焼き鳥やうな丼を時々食べることが可能です。特に、レバーには鉄分が豊富に含まれているので、妊娠中の鉄分の補給源になります。

妊娠中はさまざまな食品からバランスよく栄養を取るようにしましょう。

植物性食品からのビタミンA摂取を意識

妊娠中のビタミンAの過剰摂取を防ぐには、植物性食品からビタミンAを取るのがおすすめです。

βカロテンなどのプロビタミンは、必要な分がビタミンAに変換され、不要な分は脂肪内に蓄えられたり、排泄されたりするためです。また、プロピタミンは、通常のビタミンAよりも利用効率も低く、動物性食品よりも含有量が比較的少ない特徴があります。

ビタミンAは脂溶性なので、油にかけたりドレッシングをかけたりすると、効率よく摂取できます。

野菜ジュースを飲む場合は適量を

植物性食品はビタミンAの過剰摂取につながりにくいですが、野菜ジュースはビタミンAが豊富に含まれていることがあります。野菜ジュースは緑黄色野菜をミックスして果汁を濃縮させているためです。

栄養補給のサポートとして飲むのには問題ありませんが、ビタミンAの取りすぎにならないように飲み過ぎに注意しましょう。ただし、野菜ジュースは糖分が多かったり、食物繊維も少なかったりするので、完全に野菜の代わりになるわけではないことを覚えておきましょう。

サプリメントからのビタミンA摂取に注意

妊娠中に食生活のバランスが気になっている方の中には、サプリメントを飲んでいる方もいるかもしれません。妊娠中にサプリメントの摂取が必要なのは、葉酸のみです。

サプリメントは特定の栄養素や成分が高濃度に含まれているため、過剰摂取につながる恐れがあります。特に、ビタミンAをはじめとするビタミン剤は、健康のために日常的に摂取している方も多いでしょう。

前述したように、ビタミンAは脂溶性ビタミンであるため、体に蓄積しやすい特徴があります。妊娠中にビタミンAが含まれているビタミンサプリメントを大量に摂取すると、赤ちゃんの健康に影響を及ぼす危険があるので注意が必要です。

化粧品に含まれているビタミンAは問題ない

ビタミンAのレチノールは動物性食品に含まれているだけでなく、化粧品に添加されていることがあります。レチノールは肌のターンオーバーを促すため、くすみなどの肌トラブルの改善に効果があるためです。

ビタミンAが含まれている化粧品を塗っても、体に取り込まれる量は少ないので、特に問題ありません。ただ、レチノールの作用により肌が乾燥しやすくなるので、肌に合わないときは使用を中止しましょう。

まとめ

ビタミンAは、妊婦さんの健康やおなかの赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素です。脂溶性ビタミンなので体内に蓄積しやすく、過剰摂取すると健康に影響を及ぼすことがあります。

特に、妊娠初期にビタミンAを取りすぎると、おなかの赤ちゃんの奇形を引き起こす原因になるので注意が必要です。

妊娠中は、レバーやウナギなどビタミンAの過剰摂取につながりやすい動物性食品の摂取に気を付け、サプリメントの利用を控えましょう。ビタミンAの摂取は緑黄色野菜を中心にするのがおすすめです。

参考:
ビタミンAの働きと一日の摂取量
ビタミンA

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ABOUT ME

原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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