2022.12.27

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母乳が出ない?いつから出るのか、出ない原因を解説

「母乳育児はミルクよりも赤ちゃんにとって良い?」「なかなか母乳が出なくて悩んでいる」「母乳の量は足りている?」など、母乳は赤ちゃんが生まれてすぐにやってくる悩みの1つです。

母乳について悩むお母さんはとても多いです。今回は母乳について紹介しますので、悩みが少しでも解消しましたら幸いです。

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母乳はいつから出る?母乳のメリットも紹介

妊娠を継続するために働いていたプロゲステロン(黄体ホルモン)は、母乳の分泌を抑える働きもあります。出産後に胎盤が剥がれ落ちると、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌がほぼなくなります。

合わせてプロラクチン(乳腺刺激ホルモン)とオキシトシンの分泌により、母乳が分泌されます。

母乳が出るのは通常出産後1~3日後ですが、母乳の分泌量が安定するのは1ヶ月程度が目安です。

母乳のメリット

母乳は赤ちゃん、お母さんの両方にとってメリットが多くあります。母乳のメリット6つを紹介します。

①母乳は栄養素や免疫物質が豊富

母乳は栄養学的に完全で、感染予防効果があると言われています(※①)。例えば初乳(出産後数日間の間に分泌される乳汁)には免疫物質である免疫グロブリンが大量に含まれており、感染症に対しての抵抗力を持つことができるようになります(※②)。

母乳は消化吸収がよく、赤ちゃんは消化機能に負担なく吸収することができます。母乳の消化、吸収に要する時間は90分程度、人工乳(粉ミルクなど)が消化、吸収に要する時間は180分程度と言われています。

②赤ちゃんの口周りの発達を促すことができる

母乳を飲む行為は、赤ちゃんの口腔発達に効果があります。赤ちゃんが母乳を飲むためには、口を開ける、乳頭をくわえる、舌でしごき出すといった動作が必要です。母乳を飲むためのこれらの動作は、赤ちゃんの口周りの発達に役立ちます。

③ミルクと比較して経済的

母乳は栄養価の面ではもちろん、費用がかからないため経済的です。

人工乳(粉ミルクなど)の場合ミルク代はもちろん、哺乳瓶や消毒用のアイテムなども揃える必要があるため、ミルクと比較して経済的というメリットがあります。

④愛着形成やコミュニケーションに役立つ

授乳中は、赤ちゃんとお母さんの肌がふれあい、コミュニケーションの機会となります。赤ちゃんが心理的に安心することはもちろん、お母さんは「オキシトシン」という幸せホルモンが活性化するため、お母さんの心理面にとっても効果があります。

⑤お母さんの産後の体が早く回復する

赤ちゃんが乳頭に吸い付いて刺激を与えると分泌される「オキシトシン」は子宮収縮、悪露の排泄を促す役割があり、産後の体が早く回復する効果があります。

また授乳中は生理が再開しない場合が多く、子宮を休めることにもつながります。

また授乳にはダイエット効果があることもあります。授乳はカロリーを消費するため、産後太り解消にも効果的です。

⑥災害時に役立つ

清潔な水が確保できない、物資の確保が難しい災害時にも、母乳は推奨されています。直接母乳は体温保持にも役立つことや、母乳は栄養学的に完全で、感染予防効果もある(※①)ことから、災害時にもメリットがあります。

母乳がたくさん出る人の特徴

母乳がたくさん出る人の特徴を紹介します。

授乳回数が多い

母乳の分泌は、赤ちゃんが乳頭を加えることで分泌される「オキシトシン」や「プロラクチン」というホルモンが関係しています。

授乳回数が多いほどホルモンの分泌が多くなり、母乳がたくさん出るようになります。

また授乳回数が多いと、赤ちゃんも飲む行為になれていきます。例えば乳頭が小さいと、赤ちゃんが飲みにくそうにすることがありますが、徐々に慣れて、飲むことができるようになります。

栄養状態が良い

授乳はカロリーを消費します。また産後の回復と合わせて、バランスの良い食事でお母さんの栄養状態を整える事が必要です。

また母乳のほとんどが水分です。授乳中はお母さんの体が水分不足になりがちですが、水分補給を十分に行えている場合、母乳の出が良いとされています。

ストレスを上手く対処できている

ストレスで母乳が出なくなる、止まってしまうことは決して珍しいことではありません。例えば、出産から退院後に母乳が出なくなるなど、環境の変化でも一時的に出なくなることがあります(※④)。

ストレスを完全になくすことは難しいですが、ストレスを上手に対処する、リラックスする環境を作ることが大切です。

母乳が出ない場合の原因と対策

母乳育児をしようと思っても、母乳が出ない、母乳の量が足りないという悩みを抱えるお母さんは非常に多いです。母乳が出ない場合の原因と対策を紹介します。

授乳回数が少ない

授乳回数が少ないと、母乳の出が悪くなる、減っていく場合があります。母乳の出が悪くても、根気よく何回も赤ちゃんに吸わせましょう。

授乳回数は月齢や赤ちゃんによって個人差はありますが、基本的には赤ちゃんがほしがるタイミングであげてOKです。

ストレスが多い

普段母乳が出ていても、環境の変化やストレスが多いと母乳が出なくなることがあります。ストレスがたまると自律神経やホルモンバランスの乱れにもつながります。

毎日の慣れない育児、不規則な生活でストレスも多いかと思いますが、日中に睡眠時間を確保し、自分の好きなことをする時間を強制的に取るなどして、ストレスと上手に付き合っていきましょう。

バランスのよい食事をとる

産後の回復や育児、また母乳を作るのには普段よりもエネルギーが必要です。バランスの良い食事と十分な水分を摂取するよう心がけましょう。

赤ちゃんの吸い付きが悪い

赤ちゃんが飲みにくそうにしていても、回数を重ねるごとに徐々に慣れていきます。また乳頭が硬いと、赤ちゃんの舌が絡みづらい場合があります。出産した病院やおっぱいケアがある助産院、地域の保健師などでの相談や指導、母乳マッサージで、赤ちゃんの吸い付きがよくなることがあります。

授乳中の食生活について

授乳中の食生活は、母乳に直接影響します。授乳中に積極的に取りたい栄養素や、逆に控えてほしい食べ物についても紹介します。

バランスのよい食事摂取を意識する

授乳中に特に摂取してほしい栄養素は、鉄分や葉酸、カルシウムなどがあります。これらの栄養素を意識的に摂取するとともに、バランスの良い食事摂取を心がけましょう。また繰り返しになりますが、授乳中は脱水になりやすいです。食事と合わせて、水分補給もこまめに行いましょう。

動物性脂肪の摂りすぎに注意?

動物性脂肪を摂取しすぎることで、乳管がつまることがあります。つまりが気になるときは、油の取り過ぎや乳製品、肉類の過剰摂取は控えたほうが無難です。

カフェインの摂取しすぎに注意

カフェインには覚醒作用があり、赤ちゃんの眠りに影響がある場合があります。1〜2杯程度のコーヒーであれば問題ないと言われていますが、それ以上摂取したい場合は、ノンカフェイン飲料を選ぶようにしましょう。

授乳中はアルコールを控える

母乳はお母さんが食べたもので作られます。アルコールを摂取すると、アルコールの成分が母乳となるため、授乳中はアルコールを控えましょう。

薬を服用している場合は病院へ相談を

薬の多くは母乳中に移行しますが、その移行する量は非常に少ないことが分かっています。

薬を飲んでいるから母乳育児が絶対にできない、母乳をあげるためには薬を中止する必要があるという訳ではありませんが、薬を服用している場合は必ず病院へ相談し、医師の指示に従いましょう(※④)。

母乳についてのまとめ

今回は母乳について、母乳が出る時期やメリット、出る人の特徴や出ない場合の対策、食生活などについて紹介しました。

母乳には赤ちゃん、お母さんの両方にメリットがありますが、なかなか母乳が出なくて悩んでいるお母さんは決して少なくありません。母乳で悩んでいる場合は出産した病院や助産院、地域の保健師などにも相談しながら、今回記事で紹介した対策や食生活をうまく取り入れていただけると幸いです。

【参考文献】
公益社団法人日本産婦人科医会 – 2.母乳育児支援
宮城県子育て支援情報サイト みやぎっこ広場 – 乳幼児
日本母乳の会 – Q 家に帰ったら急におっぱいが出なくなりました。
国立成育医療研究センター – 授乳と薬について知りたい方へ

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平野香菜子
内科、精神科にて看護業務に従事経験を持つ看護師・保健師のライター。2020年には、食事や運動をはじめとした生活習慣改善のための保健指導などを行う企業保健師としても活動中。 略歴:2016年 美容系専門学校講師、2017年 大学教員(助手)、2018年 看護師、2020年 企業保健師。取得資格:看護師、保健師。

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