2025.09.30
出産

「出産予定日通りに生まれるのかな?」
「初産だと遅れるって聞くけど本当?」
「出産予定日がずれるのは異常なこと?」
このように気になっていませんか?
出産予定日のずれについて、正しい知識を持っていれば、妊娠中の不安の解消や適切な準備に役立つでしょう。
この記事では、出産を控えた妊婦さんへ向けて出産予定日のずれの平均や原因について解説します。初産婦と経産婦の違いやリスク対処法の参考に、ぜひ最後までお読みください。

妊娠中に気になることのひとつが「実際の出産日は予定日からどれくらいずれるのか」という点です。多くの妊婦さんが予定日を意識しますが、厚生労働省の最新統計データを見ると興味深い傾向がわかります。
出産予定日のずれ平均データには大きく2つのポイントがあります。
それぞれ詳しく説明していきます。
まず知っておきたいのが「予定日どおりに生まれる確率は非常に低い」という事実です。
多くの赤ちゃんは予定日前後の範囲で生まれる傾向があり、予定日ちょうどに生まれるのは少数です。医療機関の臨床統計によると、出産予定日ちょうどに生まれる確率は全体の5%程度とされています。
医学的には、妊娠37週0日から41週6日の間に生まれることを「正期産」と呼び、正常な出産とされています。つまり、予定日を中心とした約5週間の幅で生まれることは全く正常な範囲内です。
厚生労働省の2023年人口動態統計では、妊娠週数別の出生分布が公表されています。ただし、統計上の週数分類と医学的な正期産の定義は必ずしも一致しないため、データの解釈には注意が必要です。
| 妊娠期間 | 出生数(2023年) | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 36〜39週(予定日より早め) | 485,160人 | 66.7% |
| 40週以降(予定日以降) | 220,240人 | 30.3% |
| 32〜35週 | 16,492人 | 2.3% |
| 28〜31週 | 3,463人 | 0.5% |
※これは「予定日週」の出生割合を示したものであり、出産予定日との日単位のずれを直接表すデータではありません。
最も注目すべき点は、予定日より早く生まれる赤ちゃんが圧倒的に多いことです。2023年のデータでは、妊娠36〜39週に出生した赤ちゃんは全体の66.7%、40週以降に出生した赤ちゃんは30.3%でした。
重要なのは、妊娠37週から41週の間に生まれる赤ちゃんは全て医学的に正常な「正期産」の範囲内であり、この期間内であれば早い・遅いを心配する必要はないということです。
参考:e-Stat|人口動態調査 人口動態統計 確定数 出生

初産婦と経産婦では、出産に至るまでの身体の変化に違いがあるほか、出産時期や進行にも違いがみられる傾向があります。
一般的には「初産婦は予定日を超過する例が多い」「経産婦は出産進行が早いことが多い」とされますが、出産時期のずれ方には個人差が大きく、必ずしも当てはまるわけではありません。
初産婦では、子宮頸管の熟化や産道の柔軟性が十分に整うまで時間がかかるため、予定日を超えるケースが比較的多いとされています。
ただし、予定日より早く出産となる例もあり、あくまで「遅れやすい傾向がある」という程度にとどまります。
初産婦の場合、すでに出産経験のある経産婦より、出産予定日を超える場合が多い傾向にあります。出産にかかる時間も初産婦の分娩所要時間の平均は分娩開始から12~15時間と長時間になります。
経産婦は、子宮口や産道が一度開いた経験があるため、分娩進行が初産婦よりも早い傾向があります。平均所要時間も5〜8時間程度とされています。
ただし、出産のタイミング(予定日より早い・遅い)については一定の法則はなく、同じ母親でも出産ごとに異なるケースが多くみられます。

出産予定日がずれる理由は複数の要因が絡み合っているため、多くの妊婦さんが経験する現象です。
出産予定日がずれる原因には大きく3つあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
出産予定日が早まる原因には大きく3つの要因があります。
それぞれ詳しく説明していきます。
出産予定日が早まる最も基本的な原因は「排卵日が早い場合」です。
予定日決定法では、排卵のタイミングで予定日がずれてしまうこともあり、約半数は正しい予定日ではないという報告もあります。通常は最終月経から14日目を排卵日として計算しますが、実際の排卵が早まると出産予定日も前倒しになります。
普段月経周期が28日の方でも、体調やストレスなどで排卵日が1週間ずれれば、出産日も同じだけずれることになります。
経産婦は身体の準備が整いやすいため、予定日より早く生まれる傾向があります。
経産婦は子宮頸管や会陰が初産婦と比較して軟らかいため、子宮口が開きやすかったり会陰が伸展しやすかったりする傾向があり、そのことも分娩の進むスピードが速いことに関係していると考えられます。
過去の出産経験により産道が開きやすくなっているため、陣痛が始まってから出産までの時間が短く、結果として予定日より早いタイミングで出産に至ることがあります。
母体の体質や生活習慣は出産時期に影響を与える要因の一つです。
日本産科婦人科学会によると、「重労働や長時間労働、ストレスのかかる仕事は、早産のリスクを高めることが分かっています」とされています。過度な活動量や労働負荷は子宮収縮を促すことがあります。
また、早産のリスク因子として「もともとの痩せた体格」や「妊娠中の体重増加が少ない」ことが挙げられています。母体の栄養状態や体格が十分でない場合、妊娠の維持が困難になり予定日より早い出産につながることがあります。
一方で、妊娠中は「適度な食事とスポーツ(有酸素運動)により、体重を上手にコントロールしてください」とされており、適切な活動量は妊娠の維持に良い影響を与えます。重要なのは過度ではない適切なレベルでの活動を心がけることです。
出産予定日が遅れる原因には大きく3つあります。
それぞれ詳しく説明していきます。
出産予定日が遅れる最も基本的な原因は「排卵・受精が遅れた場合」です。
前述の排卵日が早まる場合とは逆に、排卵が遅れると出産予定日も後ろ倒しになります。排卵が遅れる原因には、ストレスや生活習慣の乱れによるホルモンバランスの変化があります。
初産婦は身体の準備に時間がかかるため、予定日を過ぎることが多い傾向があります。
初産の場合は、子宮の出口がやわらかくなる「熟化」が起こりにくいため、なかなか分娩に至らないことがあります。初めての出産では子宮頸管や産道が硬く、分娩の準備が整うまでに時間を要するためです。
このため初産婦は経産婦と比べて予定日を超過しやすい傾向にあります。
胎児の発育や成熟度の個人差も出産時期に影響を与える要因です。
子宮環境が良好で胎児が下りてこない場合があります。赤ちゃんがお腹の中で十分に成熟するまで時間をかけることがあるためです。
赤ちゃんの肺機能や神経系の成熟には個人差があり、最適な状態になるまで陣痛が始まらないことがあります。
出産予定日が早まる場合も遅れる場合も、どちらにも共通する根本的な原因があります。
出産予定日のずれに共通する原因には大きく3つあります。
それぞれ詳しく説明していきます。
出産予定日の計算方法自体に構造的な限界があります。
最終月経をもとに出産予定日を算出できるのは、生理周期が28日型の人の場合です。標準的な280日計算法は、全ての妊婦の個別事情を反映できません。
厚生労働省の人口動態統計によると、妊娠40週に出生した赤ちゃんは全体の一部にとどまります。つまり、予定日ちょうどでの出産は多くなく、予定日前後で生まれるのが一般的です。
参考:e-Stat|人口動態調査 人口動態統計 確定数 出生
生理周期の個人差は出産予定日のずれに直接影響します。
月経周期には個人差があり、25〜38日程度までが正常範囲とされています。月経周期が長い人は排卵が遅くなりやすく、出産予定日も後ろ倒しになる傾向があります。逆に、月経周期が短い人は排卵が早まり、出産予定日より早く出産する可能性もあります。
この個人差は妊娠成立のタイミングを左右するため、出産時期にも同様の影響を与えます。
胎児の発育速度や体格の個人差も出産時期に影響を与えます。
妊娠週数が進むほど標準偏差の範囲が広くなります。例えば妊娠36週では1,927g~3,087gと、約1,100gもの開きがあります。赤ちゃんの発育は妊娠10~11週くらいから少しずつ個体差が出てきます。
赤ちゃんの発育や成熟度には個人差があり、それが陣痛開始のタイミングに影響する場合があります。これは予定日とのずれにつながることもありますが、あくまで自然な範囲のばらつきです。
参考:公益社団法人 日本産科婦人科学会|胎児計測と胎児発育曲線について:

出産予定日を過ぎても陣痛がこない場合、母体と胎児の両方にリスクが生じる恐れがあります。
出産予定日より遅れるリスクには大きく2つがあります。
それぞれ詳しく説明していきます。
過期妊娠とは、妊娠42週を超えても分娩に至らない状態を指します。
妊娠42週に入っても分娩に至らないものを「過期妊娠」といい、妊娠42週0日以降に分娩することを「過期産」と呼びます。
過期産の発生率は大幅に減少しています。厚生労働省の統計によると、昭和55年には「過期」が4.5%でしたが、令和元年には0.2%に低下しています。これは約40年間で過期産が20分の1以下に激減したことを示しています。
この減少は現在の医療では42週前に積極的な分娩誘発が行われるためです。
予定日超過による主なリスクは胎児と母体の両方に及びます。
42週を超えて妊娠が継続すると赤ちゃんが育ち過ぎてしまったり、胎盤が古くなることで機能が低下してしまったりするリスクが知られています。具体的には肩甲難産による難産や胎便吸引症候群などが挙げられます。
対処法として41週の時点で出生前サーベイランスを考慮することが推奨され、42週を超えたら陣痛誘発が推奨されるのが現在の標準的な医学的対応です。
出産予定日のずれは自然な現象で、約7割の赤ちゃんが予定日より早く生まれています。
ずれる原因は排卵日のタイミング、計算方法の誤差、個人差など多岐にわたります。初産婦は遅れやすく、経産婦は早まりやすい傾向がありますが、個人差の方が重要な要因です。
妊娠37週から42週未満の正期産であれば正常な出産です。現在、過期産は0.2%程度と稀で、適切な医学的管理により安全性が確保されています。
出産予定日はあくまで目安です。定期的な妊婦健診を受けながら、安心して赤ちゃんとの対面を待ちましょう。
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