2025.08.08
妊娠

赤ちゃんの染色体数の異常によって起こるダウン症。妊娠中の女性のなかには、おなかの赤ちゃんがダウン症かどうか気になっている人もいるのではないでしょうか。赤ちゃんがダウン症だった場合、いつわかるのかも気になりますよね。
この記事では、ダウン症の特徴や原因、診断を受ける時期、検査について詳しく解説します。ダウン症について気になっている妊婦さんは参考にしてみてください。

ダウン症とは、染色体数の異常によって起こる先天性の遺伝子疾患です。ダウン症のある子どもは、平坦な顔やつり目をはじめ特徴的な顔貌のほか、筋力の低下や発達の遅れがみられます。また子どもによっては、合併症をともなうこともあります。
ダウン症にみられる染色体数の異常は偶発的に起こるもので、両親が健康な場合でもみられます。

他の先天性の病気と比べると、ダウン症は比較的広く知られている病気です。そのため、妊娠中の女性のなかには、自分の子どもがダウン症である場合、いつ頃判明するのか気になっている人もいるかもしれません。ここではダウン症がわかる時期についてみていきましょう。
赤ちゃんがまだ生まれていない妊娠中から、ダウン症の可能性についてわかることがあります。妊娠中にダウン症の可能性を知る手段となるのが、妊婦健診で行われる超音波(エコー)検査です。
妊婦健診の超音波(エコー)検査でダウン症の可能性がある身体的特徴には、首の後ろ部分のむくみ(NT肥厚)、鼻が低い、耳が小さい、手足が短いといったものがあり、そのうえで心臓や消化器の合併症があれば、ダウン症の可能性を疑います。
ただ、これらはあくまでダウン症の可能性を示すものであり、上記の特徴がみられていても、必ず赤ちゃんがダウン症ということではありません。妊娠中に赤ちゃんがダウン症かどうかを知るためには、羊水検査などを受けて確定診断を受ける必要があります。
赤ちゃんがダウン症の場合、特徴的な顔貌や筋力の弱さから、ダウン症の可能性を知ることができます。
しかし、ダウン症の特徴は個人差が大きいため、生まれたばかりの赤ちゃんの場合、診断がつきにくいこともあります。乳児健診などしばらく経った後で、ダウン症の可能性を指摘され、医療機関で診断を受けることもあります。

赤ちゃんがダウン症になるのを防ぎたいと考えている妊婦さんもいるのではないでしょうか。ここではダウン症が生まれる原因についてみていきます。
ダウン症の原因は、21番目の染色体が1本余分にあることです。染色体とは細胞の核のなかにある、DNAとタンパク質が折りたたまれた構造体です。通常、人間は23本の染色体が2対のペアになっており、それぞれ番号が振られています。
ダウン症では、21番目の染色体が2対ではなく、1本余分に多い状態になり、「21トリソミー」とも呼ばれています。
すでにダウン症の子どもを育てている親御さんのなかには、ダウン症が遺伝するのか気になっている人もいるでしょう。ダウン症は染色体数の異常によるものであり、突発的な遺伝子の変異によって起こるものです。そのため、1人目のお子さんがダウン症であったとしても、次に生まれてくる赤ちゃんがダウン症であるとは限りません。
ただ両親のいずれかが、染色体の構造に異常がある場合は、本人にダウン症の兆候がなくても、子どもに遺伝する場合があります。遺伝するタイプのダウン症として知られるのが「転座型」です。
染色体の転座型とは、染色体の一部が他の染色体とくっついている状態をいいます。転座型である本人は、染色体の過不足がないため健康であることが多くなりますが、子どもに遺伝的な影響を与えることがあります。
ダウン症の子どもを持つ両親は、念のため染色体が転座型でないか調べてもらうのもよいでしょう。両親のいずれかが転座型である場合、専門家による遺伝カウンセリングを検討しましょう。
赤ちゃんがダウン症になるリスクを高める要因に高齢出産があります。高齢出産とは35歳以上で出産することです。
ダウン症と妊婦さんの年齢に相関関係があり、一般に出産年齢が上がるほど、ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率が高くなります。例えば、ダウン症の赤ちゃんが生まれる比率は、妊婦さんが25歳の場合は1000人に1人であるのに対し、40歳の場合は100人に1人と頻度が高くなります。
高齢出産でダウン症のリスクが高まる原因には、卵子の元になる細胞の染色体が分離エラーを起こすためです。卵子や精子といった生殖細胞は、受精によって合体することで2対のペアになります。しかし、卵子の23番目の染色体が2対あることで、精子と受精したときに3対になってしまい、ダウン症を引き起こすのです。

ここでは、ダウン症に関する疑問や質問の回答を紹介します。
妊婦健診の超音波(エコー)検査は、スクリーニング検査として行われるものです。そのため、NT肥厚といった一部の兆候があったとしても、ダウン症を確定するには至らず、医師から指摘を受けないこともあります。
ダウン症の症状の程度は、個人差があります。一部の染色体の異常がみられる「モザイク型」の場合、比較的症状が軽度であり、顔の特徴が薄かったり、健康に大きな問題がなかったりすることもしばしばです。そのため、子どもがダウン症とすぐに気付かないこともあります。

妊娠中におなかの赤ちゃんがダウン症であるかどうかを知る方法には、新型出生前診断(NIPT)があります。新型出生前診断(NIPT)は妊婦さんの血液中に含まれる胎児のDNAのかけらを調べる検査です。
検査でダウン症の可能性がわかった場合は、羊水検査を受けたうえで確定診断を受けられます。新型出生前診断(NIPT)は妊娠10週以降から受けられ、早い段階で赤ちゃんがダウン症かどうかの目安を知ることができます。
ダウン症を調べるための新型出生前診断(NIPT)は、認可施設と非認可施設の両方で受けられます。とくに非認可施設では、より多くの遺伝子疾患の可能性を調べることができます。高齢出産などで赤ちゃんの遺伝疾患リスクが気になる人は、非認可施設での受検を検討するのもよいでしょう。
ダウン症は21番目の染色体数が1本余分に多いことで引き起こされる先天性疾患です。ダウン症の赤ちゃんは特徴的な顔貌をもち、筋肉のゆるみや発達の遅れがみられるものの、近年は一つの個性として捉えられるようになっています。
自分の子どもがダウン症であるかどうかは、出生後だけでなく妊娠中から可能性を知ることができます。早い段階でダウン症の可能性について知ることで、支援やサポートの準備に取り掛かれるでしょう。
参考:
ダウン症とは
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