接合部型表皮水疱症とは?遺伝子検査で調べられる?原因や寿命について解説 | DNA先端医療

2025.07.25

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接合部型表皮水疱症とは?遺伝子検査で調べられる?原因や寿命について解説

先天性の皮膚疾患である接合部型表皮水疱症。ママのなかには、自分の子どもが接合部型表皮水疱症の可能性の指摘または診断を受けた人もいるのではないでしょうか。病気の原因は何なのか、どのような症状が起こるのか、治療や経過について気になりますよね。

この記事では、接合部型表皮水疱症について解説します。赤ちゃんや子どもの皮膚トラブルが気になっている人も参考にしてみてください。

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表皮水疱症とは?種類について

先天性表皮水疱症とは、表皮と真皮のあいだにある「基底膜」という場所のたんぱく質の遺伝子異常によって起こる皮膚の病気です。

基底膜は肌のターンオーバーが行われる箇所です。この部分のたんぱく質の遺伝子に異常があると、細胞同士の接合が不十分になり、軽い刺激で水ぶくれやただれを生じるようになります。また皮膚症状を繰り返すことで、皮膚が硬くなったり、癒着を引き起こしたりすることもあります。

先天性表皮水疱症には、接合が不十分な箇所によっていくつかの種類があり、重症度も異なります。ここでは、表皮水疱症の病型の種類と重症度についてみていきましょう。

単純型

単純型は表皮の最下層にある基底細胞同士に隙間が生じる病型です。皮膚に水ぶくれやただれが生じやすく、角質が硬くなることもあるものの、命に関わるほどではありません。単純型表皮水疱症の割合は、およそ30%です。

接合部型

接合部型は、表皮と真皮の接合に隙間が生じる病型です。接合部型表皮水疱症には「ヘルリッツ型」と「非ヘルリッツ型」があり、前者である「ヘルリッツ型」は、最も重症で生命予後も悪くなります。接合部型表皮水疱症は頻度が少なく、およそ10%です。

栄養障害型

栄養障害型の表皮水疱症は、表皮の真下に隙間ができる病型です。皮膚の深い部分に水疱ができやすいため、傷跡が残りやすいのが特徴です。栄養障害型の表皮水疱症の割合は、およそ60%です。

キンドラー型

キンドラー型の表皮水疱症は、基底細胞内や表皮の真下に隙間ができる病型です。皮膚の浅い部分に症状みられるため、皮膚が光に対して敏感な傾向があります。

頻度はそれほど高くなく、およそ10%がキンドラー型になります。その他の表皮水疱症と比べると、比較的軽症です。

以降では、他の病型よりも重症度が高い接合部型表皮水疱症について詳しくみていきます。

接合部型表皮水疱症の原因

接合部型表皮水疱症の原因は、皮膚の基底膜の下層にある細胞接着装置(へもデスモソーム)に含まれる「17型コラーゲン」や「ラミニン332」の欠損がみられることで起こります。

上記の2つは細胞同士が結合するために必要な構造分子です。これらの一部または完全な欠損により、皮膚以外にも歯や爪といったさまざまな部位に症状がみられます。

接合部型表皮水疱症の症状

接合部型表皮水疱症は皮膚だけでなく、口の中、食道、目などの粘膜にも症状が現れることがあります。具体的な症状は次のとおりです。

  • 皮膚の水疱とただれ
  • 肉芽組織の形成:口周り、鼻の穴、手足
  • 口や食道粘膜の損傷
  • 爪の変形や脱毛
  • 歯のエナメル質の形成不全
  • 咽頭の狭窄
  • 重度の貧血、成長不良

また接合部型表皮水疱症のなかでも、ラミニンが生成されない「ヘルリッツ型」では、水疱や肉芽腫の破裂により、常に全身の皮膚がめくれている状態です。皮膚がむき出しになっていることで、二次感染や敗血症を引き起こしやすくなります。

接合部型表皮水疱症の治療

接合部型表皮水疱症は遺伝性の皮膚の病気であるため、根本的な解決方法がありません。そのため治療は対症療法が行われます。主に行われるのは、ドレッシング剤の貼付、抗生物質や保湿剤の塗布により、患部の管理です。

また接合部型表皮水疱症の患者は、皮膚がめくれており、強い痛みを感じることが多く、オピオイドといった痛み止めを使用します。また、皮膚が露出している部分から、感染や敗血症のリスクが高いため、抗生物質や抗真菌薬を投与します。

さらに患者さんの状態に合わせて、胃ろうからの栄養剤の注入、気管切開をはじめ呼吸の管理を行います。

なお、近年は接合部型表皮水疱症に対する再生医療の研究が進められています。具体的な内容には、遺伝子治療やたんぱく質補充療法、細胞治療などがあります。

接合部型表皮水疱症の寿命と予後

接合部型表皮水疱症の寿命と予後は、非ヘルリッツ型とヘルリッツ型で異なります。ヘルリッツ型の接合部型表皮水疱症は、全身の皮膚からの感染や敗血症になるリスクが高くなります。平均寿命は6か月~1年程度といわれており、患者さんの多くは乳児期に亡くなります。

非ヘルリッツ型の接合部型表皮水疱症は、症状が現れる部位に個人差があるものの、比較的軽症です。ヘルリッツ型よりも経過が良好で、小児期から成人期まで生存する例もあります。

接合部型表皮水疱症は遺伝子検査で調べられる?

接合部型表皮水疱症は遺伝性の皮膚疾患であり、検査によって調べることができます。主に行われる検査は次のとおりです。

  • 皮膚生検:基底膜の接着たんぱく質を調べる
  • 透過型電子顕微鏡:表皮と真皮の接合部を観察する
  • 遺伝子検査:LAMC2、LAMA3、LAMB3の変異があるかどうかを調べる

接合部型表皮水疱症は新型出生前診断(NIPT)でも調べられる

妊娠中におなかの赤ちゃんが接合部型表皮水疱症の可能性を知るために、新型出生前診断(NIPT)を用いることはできません。ただし、新型出生前診断はダウン症候群などの染色体異常を調べる場合は、高精度でわかります。

遺伝性の皮膚疾患の可能性が気になる方は、新型出生前診断(NIPT)ではなく、専門医への相談を受けることをおすすめします。

まとめ

接合部型表皮水疱症は、肌のターンオーバーが行われる基底膜下層にあるタンパク質の遺伝子異常によって起こる皮膚の病気です。皮膚が非常にもろく、わずかな刺激で水ぶくれやただれが生じます。また皮膚だけでなく、口や食道、目といった粘膜にも症状がみられます。

接合部型表皮水疱症の重症度は、ヘルリッツ型か非ヘルリッツ型によっても異なります。ヘルリッツ型は、全身に皮膚の剥離がみられることが多く、感染症や敗血症によって、短い期間で亡くなることがほとんどです。非ヘルリッツ型は、比較的症状が軽く、成人まで生きられるケースもあります。

参考:
表皮水疱症
皮膚水疱症(指定難病36)
Herlitz 型接合部型先天性表皮水疱症の 1 例

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原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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