2025.09.30
出産

「経産婦と初産婦はどう違うの?」
「経産婦の出産はどのような特徴があるの?」
「経産婦の妊娠中に注意すべきことは?」
このように気になっていませんか。
経産婦は、出産経験により体の変化や分娩の進み方に特徴があります。初産婦との違いを理解することで、より安心して妊娠・出産に臨めるでしょう。
この記事では、経産婦の方へ向けて初産婦との違いや出産の特徴、妊娠中の注意点について解説します。経産婦の妊娠・出産の参考に、ぜひ最後までお読みください。

経産婦とは、過去に出産経験がある女性のことです。
ここでいう分娩には、生産だけでなく死産も含まれます。
一方で、妊娠22週未満での流産は「分娩」とは扱われないため、経産婦には含まれません。
経産婦と初産婦の違いは、出産経験の有無です。
初産婦は妊娠22週以降の出産経験がない女性です。経産婦は一度以上の出産を経験している女性です。
| 項目 | 初産婦 | 経産婦 |
|---|---|---|
| 出産経験 | なし | あり |
| 分娩時間 | 長い | 短い |
| 陣痛の判断 | 難しい | しやすい |
| 子宮口の開き | ゆっくり | 早い |
| 胎動を感じる時期 | 遅い | 早い |
※上記はあくまで一般的な傾向であり、実際の妊娠・出産には大きな個人差があります。すべての方に当てはまるわけではありません。

経産婦の体には、出産経験によって生じる特有の変化があります。
経産婦の体の特徴には大きく3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経産婦は、妊娠や出産の経験により体が変化しているため、次の妊娠が比較的スムーズに成立することもあります。
ただし、妊娠しやすさは年齢や体質の影響を大きく受けるため、必ずしも経産婦の方が妊娠しやすいとは限りません。
授乳中は排卵が抑制されることがありますが、授乳を終えると排卵や月経が再開し、妊娠可能な状態に戻ります。そのため、次の妊娠を望まない場合には避妊を考える必要があります。
経産婦は初産婦よりも早い時期に胎動を感じることが多いとされています。
初産婦が胎動を感じ始めるのは妊娠18〜20週頃ですが、経産婦は16〜18週頃から感じることがあります。これは、前回の妊娠で胎動の感覚を知っているため、気づきやすいことが理由と考えられます。
つわりについては妊娠ごとに大きな個人差があり、経産婦だから軽い・重いと一概には言えません。前回と症状が異なるケースも多くみられます。
経産婦の体には、前回の妊娠による変化が残っています。
妊娠線は一度できると完全には消えません。前回の妊娠線の上に新しい線ができることもあります。妊娠線の予防には、早めの保湿ケアが重要です。
お腹の皮膚は前回の妊娠で伸びているため、今回の妊娠でもお腹が大きくなりやすい傾向があります。腹筋の力も弱くなっているため、お腹の形が前回と異なることもあります。
乳房も前回の妊娠・授乳により変化しています。乳腺が発達しやすく、妊娠初期から乳房の変化を感じることが多いです。

経産婦の出産には、初産婦とは異なる特徴があります。
出産経験があることで、陣痛の感じ方や分娩の進み方に違いが生まれます。経産婦の出産の特徴には大きく3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経産婦は陣痛の判断がしやすいという特徴があります。
初産婦は前駆陣痛と本陣痛の区別が難しく、病院に行くタイミングを迷うことがあります。しかし、経産婦は前回の経験から陣痛の強さや間隔を判断できるため、適切なタイミングで病院に向かえることも多いでしょう。
ただ、経産婦の陣痛は初産婦よりも急激に強くなることがあります。そのため、陣痛が始まったら早めに病院に連絡することが大切です。
陣痛の痛みの感じ方は個人差がありますが、経産婦でも痛みが軽くなるわけではありません。
経産婦の分娩時間は初産婦よりも短くなる傾向があります。
初産婦の分娩時間は平均12〜15時間ですが、経産婦は平均6〜8時間とされています。これは、一度伸びた産道や子宮口が開きやすくなっているためです。
特に分娩第二期(子宮口全開から赤ちゃんが生まれるまで)の時間が大幅に短縮されます。初産婦では1〜3時間かかることが多いですが、経産婦では30分〜1時間程度になることがあります。
ただし、個人差があるため、すべての経産婦に当てはまるわけではありません。
経産婦は初産婦よりも後陣痛が強くなる傾向があります。
後陣痛とは、出産後に子宮が元の大きさに戻ろうとする際に起こる痛みです。経産婦の場合、子宮の収縮力が強いため、後陣痛も強くなりやすいのです。
後陣痛は産後2〜3日続くことが多く、授乳時に特に強くなります。これは、授乳により子宮収縮を促すホルモンが分泌されるためです。
痛みが強い場合は、医師に相談して痛み止めを処方してもらうことができます。

経産婦の妊娠中には、特に注意すべきポイントがあります。
上の子の育児をしながらの妊娠生活では、自分のケアが後回しになりがちです。経産婦の妊娠中に注意すべきことには大きく3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経産婦は上の子の世話で忙しく、栄養管理がおろそかになりやすいです。
妊娠中は胎児の成長に必要な栄養素を十分に摂取する必要があります。特に葉酸、鉄分、カルシウムは不足しやすいため注意が必要です。
授乳中の妊娠の場合は、より多くの栄養が必要になります。忙しい中でも、バランスの良い食事を心がけましょう。必要に応じて、医師と相談してサプリメントを活用することも大切です。
経産婦は上の子の育児で体力を使うため、適度な運動が重要です。
妊娠中の運動は、体重管理や体力維持に効果的です。ただし、激しい運動は避け、ウォーキングやマタニティヨガなど軽い運動を選びましょう。
上の子と一緒に公園で遊ぶことも良い運動になります。運動前には必ず医師に相談し、体調に合わせて無理のない範囲で行いましょう。
経産婦は育児と妊娠の両立でストレスを感じやすくなります。
つわりで体調が悪いときでも、上の子のお世話を休むことはできないため、ストレスが溜まりがちです。家族や周囲のサポートを積極的に求めることが大切です。
また、上の子に妊娠について話し、協力してもらうことも重要です。一人で抱え込まずに、医師や助産師に相談しましょう。

出産経験があっても、年齢が上がるにつれてさまざまなリスクが高くなります。経産婦の高齢出産のリスクには大きく3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高齢の経産婦は、妊娠高血圧症候群になりやすくなります。
妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降に高血圧やタンパク尿が現れる病気です。35歳以上では発症リスクが高くなり、特に40歳以上では注意が必要です。
症状には頭痛、めまい、むくみなどがあります。重症化すると母体や胎児に危険が及ぶため、定期的な血圧測定と検診が重要です。
塩分を控えた食事や適度な運動で予防に努めましょう。
高齢の経産婦は帝王切開になる可能性が高くなります。
年齢が上がると子宮の収縮力が弱くなり、分娩が長引くことがあります。前回が帝王切開だった場合は、今回も帝王切開になることが多いです。
子宮破裂のリスクを避けるため、医師と十分に相談して分娩方法を決めましょう。帝王切開に備えて、術後の回復や上の子のケアについて事前に準備しておくことが大切です。
高齢の経産婦は流産や早産のリスクが高くなります。
35歳以上では染色体異常による流産の確率が上がります。また、子宮頸管無力症や感染症により早産になるリスクも増加します。
上の子のお世話で無理をしがちですが、体調に変化があればすぐに医師に相談しましょう。

経産婦の出産準備と入院には、初産婦とは異なるポイントがあります。
上の子がいる状況での出産準備は、初産婦のときとは異なる配慮が必要です。経産婦の出産準備と入院には大きく3つのポイントがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経産婦は上の子のケアを考慮した準備が必要です。
入院中の上の子の世話を誰に頼むかを事前に決めておきましょう。祖父母やパートナー、託児サービスなど複数の選択肢を用意しておくと安心です。
上の子には妊娠について説明し、赤ちゃんが生まれることをきちんと伝えます。入院バッグは陣痛が始まってからでは準備が間に合わない可能性があるため、妊娠後期には完成させておきましょう。
病院までの交通手段も、上の子がいる場合を想定して準備しておく必要があります。
経産婦の入院日数は初産婦より短くなる傾向があります。
経腟分娩の場合、初産婦は5〜6日の入院が一般的ですが、経産婦は4〜5日程度になることが多いです。帝王切開の場合は7〜10日程度の入院が必要です。
退院後は上の子の世話もあるため、入院中にしっかりと体力を回復させることが重要です。
経産婦は授乳や育児に慣れているため、スムーズに進むことが多いです。
母乳の分泌は経産婦の方が早く始まることが多く、おむつ替えや沐浴なども経験があるため不安も少なくなるでしょう。
ただし、上の子との関係性には配慮が必要です。赤ちゃんが生まれることで上の子が寂しさを募らせる場合も多いため、十分な愛情を注ぐことが大切です。
授乳中は上の子も一緒に過ごせるよう、環境を整えましょう。
経産婦とは、妊娠22週以降の出産経験がある女性のことです。
経産婦は初産婦と比べて分娩時間が短く、陣痛の判断もしやすいという特徴があります。一方で、後陣痛が強くなる傾向や、高齢出産の場合はリスクが高くなることも理解しておく必要があります。
妊娠中は上の子の世話をしながらの生活となるため、栄養管理や運動、メンタルケアに特に注意が必要です。出産準備では上の子のケアを考慮した計画を立てることが大切です。
経産婦であっても一人ひとりの妊娠・出産は異なります。定期的な検診を受け、医師と相談しながら出産に臨みましょう。
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