2021.06.04

妊娠

妊娠中のつわり(悪阻)はいつから?原因・症状・対処法について解説!

妊娠中のつわり(悪阻)はいつから?原因・症状・対処法について解説!

妊娠を知るきっかけとなることも多いつわり。妊婦さんの中には、つわりの症状で困っている方もいるのではないでしょうか?つわりが起こる仕組みはさまざまな要因が関わっているため、妊婦さん一人ひとりで症状や程度が異なります。この記事では、つわりの原因や症状を和らげるための対処法について解説します。

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そもそもつわりとは?悪阻が現れる仕組み

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つわりの主な症状は、妊娠中に起こる吐き気やにおいへの敏感が高まる症状です。妊娠中につわりが起こるメカニズムついてははっきり分かっていませんが、以下のようなことが要因として考えられています。

  • 妊娠による特定のホルモンの分泌が増える
    妊娠によって、胎盤の絨毛から分泌されるホルモン「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」によって、脳にある嘔吐中枢が刺激されることによって、吐き気をはじめとする症状が現れることが明らかになっています。
  • 妊娠によるホルモンバランスの変化
    妊娠によるホルモンバランスが変化すると、自律神経に負担を与えます。胃などの消化管の働きがゆっくりになったり、体のバランスを司る中耳の器官に影響を与えて、車酔いをしている状態になることがあります。
  • 体がアレルギー反応を起こしている可能性
    妊婦さんの体が、お腹にいる赤ちゃんを異物と誤認識して、アレルギー反応が起こっている可能性も指摘されています。
  • ビタミンやミネラルの不足
    ミネラルの一種である亜鉛が不足すると、味覚や嗅覚が過敏になることがあります。また、ビタミン不足もつわりの症状の要因になることがあります。

そのほかにも、妊娠による気持ちの変化や社会的な環境もつわりに影響を与えることが指摘されています。つわりは、単に妊娠による体の変化だけでなく、さまざまな要因によって起こるといえるのでしょう。

つわりの具体的な症状と種類

妊娠中に吐き気を感じたり、においに敏感になったりするつわりですが、そのほかの症状がみられることがあります。ここでは、改めてつわりの具体的な症状についてみていきます。

  • 吐き気、においに敏感になる
    胸のあたりがムカムカする不快感があり、食欲の低下や嘔吐がみられることがあります。吐き気にともなって、人によっては食べ物の臭いに敏感になることもあります。
  • そのほかの症状
    あまり知られていませんが、つわりにより頭痛や耳鳴り、眠気、下痢や便秘などの症状がみられることがあります。

つわりの主な症状

つわりの主な症状には吐き気が挙げられます。また吐き気に関連して、においに敏感になる症状や、あまり知られていませんが眠気や頭痛、便秘などの症状も挙げられます。具体的な症状や症状が起こる理由について説明します。

吐き気

吐き気はつわりの最もよく見られる症状の1つです。具体的には、胸のあたりがムカムカする不快感があり、食欲の低下や嘔吐がみられることがあります。

においに敏感になる

吐き気にともなって、人によっては匂いに敏感になることもあります。最も多いのが食べ物のにおいによるつわりです。中でも温かい飲食物のにおいは敏感に感じる方が多いようで、よく挙げられるのが炊けた御飯のにおいやスープのにおい、煮物のにおいなどです。

また人によっては、食べ物以外のにおいに敏感になる方もいます。妊娠前には何も感じていなかった柔軟剤やシャンプー、ボディソープなどのにおいにも、苦手意識を感じる方がいらっしゃいます。 においに敏感になる原因として、妊娠によるホルモンバランスが変化したことに加え、自律神経が不安定になることがあることも原因と考えられています。

眠気、頭痛、便秘など

あまり知られていませんが、つわりにより頭痛や眠気、便秘などの症状がみられることがあります。生理前、生理中と同じように眠気、頭痛、便秘を感じる方もいれば、寝ても寝たりないという方や、妊娠中ずっと便秘が続くという方もいらっしゃいます。症状には個人差があります。

つわりの種類について

つわりの症状には種類があります。具体的なつわりの種類は以下のものがあります。

吐きつわり

一般的に知られるつわりで、吐き気により食べ物が摂取できない状態をいいます。吐きつわりにより、栄養の摂取が不充分で、脂肪が分解されケトン体が溜まるなど代謝障害が生じる妊娠悪阻という状態では、妊娠前の体重よりも5%以上減量がみられたり、医療機関での治療が必要になったりします。

毎日水しか受け付けず、吐きにトイレ行く以外は寝たきり生活を2ヶ月以上続いたこと。精神的にも身体的にもしんどかった。

1人目の時がつわりがいちばん辛く
吐きつわりと食べつわりの併発で、ものを食べても吐く。食べなくても胃液や胆汁を吐く。
とにかく何をしても気持ちが悪く吐きどおしで、なるべく吐きやすいようなゼリー飲料しか口にできなかった。

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初めは常に気持ち悪いだけだったが、だんだんと吐き気が伴ってきて、3ヶ月に入る少し前には全く食欲が無くなり食べても吐くようになった。食べても吐き、飲んでも吐きで点滴に毎日通って仕事も3週間休職した。体重はトータル8.7キロ減った

食べつわり

食べつわりはお腹が空いた時に症状が現れるつわりです。空腹時のつわりの症状を避けるために、食ベ物を口にする回数が増える傾向があります。

空腹になると気持ち悪くなるので一日中何かしら口にしていた。
ご飯を沢山食べてもすぐにお腹が空いてしまう。

食べつわりで、空腹になると気持ち悪くてたまらなかった…おかげで太りました…泣

匂いつわり

匂いつわりは食べ物の匂いや生活環境の匂いを嗅いだときに症状が現れるつわりです。

食べ物が原因による匂いつわりは、温かい食べ物や飲み物の匂いでつわりが起きる方が多いようです。

匂いつわりにより食べ物が摂取できない場合、吐きつわりと同様、5%以上減量がみられると医療機関での治療が必要になります。

生活環境が原因による匂いつわりは、タバコや生ゴミなど、一般的に不快と言われる匂いから、シャンプーや洗剤、アロマオイルやお香など、これまで好んで使用していたり、特に不快感を感じていなかった匂いにも不快感を感じることがあります。

お米が炊ける匂いやパスタを茹でる匂い、油の匂いなど料理の匂いがほとんどダメだったので、食べるものに困りました。(ひたすらトマトと果物を食べた)

3人目、初めてお肉がむりになった。お魚の匂いは全然大丈夫だったけど、なんせお肉の匂いがむりだった。食べ物も鶏肉は絶対食べれなかった。悪阻がおわったら問題なく食べれるようになった。

眠りつわり

眠りつわりは、常に眠い状態が続くつわりのことです。夜だけでなく、日中に強い眠気に襲われることも多くあり、眠りつわりにより日中寝ることで、夜に眠れなくなる、昼夜逆転現象に悩まされる方もいらっしゃいます。

眠さ以外の症状として、身体のだるさや頭痛、頭がぼーっとするなどの症状があります。これは眠りつわりのため、寝過ぎることも原因と考えられています。長時間の睡眠により同一姿勢の時間が長くなることで身体のだるさを感じたり、頭痛を感じると言われています。

眠りつわりは主に夕方から始まります。夜ご飯も不要でずっと寝てました。

気持ちが悪い、吐き気のようなつわりはほぼありませんでしたが、とにかく眠くて座っていても気づいたら寝ていることが多々ありました。
寝込むような症状がほぼなかったので、夫になかなか理解してもらえず少し辛かった。

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つわりが始まるのはいつ頃から?

つわりが始まるのはいつ頃から?

つわりの多くは妊娠の初期にみられ、月経の遅れに気づく時期である妊娠5~6週目から症状が現れます。個人差がありますが、妊娠11~13週頃がつわりのピークになります。つわりがいつまで続くかは、約半数が妊娠14週頃、9割が妊娠22週頃に落ち着くといわれています。

妊婦さんの中には、出産直前まで吐き気が続く人もいるでしょう。この場合、つわりによる症状だけではなく、妊娠で大きくなった子宮によって胃などの消化器官が圧迫されることや胃酸が逆流することによる症状であることがあります。

つわりはいつから?先輩ママたちの声

ほとんどなかった11.7%
妊娠1ヶ月ごろ0.3%
妊娠2ヶ月ごろ1.7%
妊娠3ヶ月ごろ10.0%
妊娠4ヶ月ごろ26.3%
妊娠5ヶ月ごろ29.0%
妊娠6ヶ月ごろ12.3%
妊娠7ヶ月以降8.7%

つわりには個人差がある

つわりは妊婦さんの50~80%にみられますが、人によって症状の程度はさまざまです。妊娠期間中につわりが全く起こらない妊婦さんもいれば、つわりで一日中吐いている妊婦さんもいます。つわりがひどい場合、おなかの赤ちゃんに影響が気になる妊婦さんもいるでしょう。以降では、つわりとお腹の赤ちゃんの関係についてみていきます。

つわりがあっても殆どの赤ちゃんは元気に成長する

つわりがあっても赤ちゃんは成長する

つわりで食事が取れていないと、おなかの赤ちゃんの成長に影響を与えるのではないか……と心配される妊婦さんもいるでしょう。妊婦さんにつわりがあっても、悪阻の場合を除いて、おなかの赤ちゃんの成長や発達には殆ど影響がないとされています。

また、通常、赤ちゃんが妊娠37~42週で生まれると「正期産」と呼びます。一方、37週未満で赤ちゃんが生まれることを「早産」といいます。高知大学が主導の調査結果によると、早産のグループでは、「つわりの症状がなかった」割合が多く、正期産グループでは「つわりで食事を取れなかった」人の割合が高めであったことが分かりました(https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-018-1911-1 , https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1409210062 )。
「つわりがあるから正期産になる」または「つわりがないから早産になる」と言える訳ではありませんが、この、つわりの程度と赤ちゃんの在胎週数の関連につい調査結果をもって「つわりがあるのは赤ちゃんが元気な証拠」と言う人もいます、つわりがあってもなくても、過剰に心配せずに気持ちを穏やかに過ごすことが大切かと思われます。

つわりを悪化させないための工夫

つわりを悪化させないための工夫

つわりに影響を与える要因は色々あるため、妊婦さん1人ひとりによって合う対策は異なります。ここでは、つわりを軽くするための生活のポイントついてみていきます。自分でできそうな対策から始めて、効果があったものを継続するのがおすすめです。

食べられる物を摂る

つわり中は、何とかして栄養を取ろうと考えている妊婦さんも多いでしょう。無理に食べずに、食べられる時に自分の食べたい物を食べることから始めましょう。つわり中は、吐き気の引き起こす特定の食べ物を無理して食べる必要はりません。
妊娠初期の摂取が大切な栄養素のうち、葉酸に関しては、(食事ではなく)サプリメントの利用が勧められています (https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf ) 。

つわりを起こす環境を避ける

つわりを起こすきっかけとなる食べ物・におい・状況などは人によってさまざまです。自分のつわりが起こりやすい状況を知って、その状況を可能な範囲で避けるように工夫しましょう。

社会的資源を利用する

つわりで悩んでいる妊婦さんの中には、仕事や育児中の方もいます。自治体には、家事や育児を支援するサービス提供を行っているところもあるので、チェックしてみましょう。仕事をしている妊婦さんは、会社等に仕事内容や時間帯の調整をしてもらいましょう。
そのほか、マッサージや呼吸法、ツボ押しなども人によって効果がみられることがあります。

つわりに効くといわれるツボ

妊娠初期の悪心、嘔吐および吐き気に対する介入を行った41のランダム化比較試験試験の国際レヴューの結果では、内関指圧、耳経刺激およびP6経穴刺激の有効性に関するエビデンスは限られており、鍼治療も有意な効果を示さず、全体としてエビデンス不足と結論づけられていますが、一部で有効であるとする報告 ( https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17659686 / )もあり、以下では、つわり症状の改善に効くと言われているツボを2つ紹介します。

・内関(ないかん)

腕の内側で、手首から指3本分下の位置にあります。ストレスや緊張など、精神的な不安に効くツボで、つわり以外にも、胃の不快感や頭痛、不眠や不安感に効果があると言われています。心地よいと感じる程度に押してみましょう。

・足三里(あしさんり)

膝のお皿の下から指4本分下、スネのすぐ外側の位置にあります。足三里は安産のツボとしても使用されており、安産以外では胃腸の働きを整えるのに効果があると言われています。つわりのツボとしてはもちろん、普段から胃腸が弱い方にもおすすめのツボです。

あの松尾芭蕉も「足三里」に灸をすえて、奥の細道を旅したと言われており(https://www.kyushin.co.jp/advice/advice_e15.html)、古くから知られていたツボでした。

こんな時は無理せずに医療機関へ受診しよう

つわりにより、一日に何回も吐いていると、体が脱水状態になることがあります。数日間、ほとんど食べ物を口にできていない場合や、妊娠前よりも体重が5%以上減ってしまった場合は、無理をせずにかかりつけ医を受診する必要があります。

妊娠悪阻と診断された場合は、点滴や吐き気止めによる治療が行われます。つわりは誰にでも現れるものと自己判断せずに、かかりつけ医等を受診するようにしてください。

参考:

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記事監修

足立明彦先生

赤十字病院副部長・国立大学非常勤講師。首都圏の徳洲会病院勤務時には脱水による高ケトン状態への対応を積極的に行っていた。地域のセンター病院での勤務歴もあり。学歴:2003年 薬学部卒業、2007年 医学部卒業、2014年 大学院修了。取得資格:薬剤師、医師、博士(医学)、複数分野の専門医・指導医。

ABOUT ME

原明子
国立大学で看護学を学び資格を取得し、卒業後は都内の総合病院に勤務。 海外医療ボランティアの経験もあり。 現在は結婚・子育てのため、医療や健康分野を中心にライター・編集者として活動中。 学歴:2005年 国立大学看護学部卒業。取得資格:看護師、保健師。

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